早期発見で肝臓ガンを治そう!
肝臓ガンの死亡率や検査方法などについて解説しています。肝ガンによる死亡率は、昭和50年ごろから急速に増えています。とくに男性で著明です。肝ガンには、肝臓自体の細胞から発生する「原発性肝ガン」と、ほかの部位に発生したガンが転移してきた「転移性肝ガン」とがあります。
肝ガン検診で行われる検査
「原発性肝ガン」には、肝細胞から発生する「肝細胞ガン」と、胆管の細胞から発生する「胆管細胞ガン」とがありますが、「肝細胞ガン」が大部分を占めています。肝ガン検診で発見する目的の肝ガンは、この「肝細胞ガン」です。
すでに定期健康診断などで、肝臓が悪いと指摘されて、病院などに定期的に受診している人は、多分、肝ガンについても検査されていると思われますので、改めて肝ガン検診を受ける必要はないと思われます。
☆肝機能検査
血液をとって検査します。
肝ガンは、多くは肝臓の病気がすでにある場合に併発してきます。特に肝硬変に伴いやすいのです。したがって、まず、一般的な肝機能検査が必要です。検査の内容はGOTやGPTなど、9項目について調べます。
☆B型肝炎ウイルス(HBs)抗原検査
☆C型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査
一般の肝機能検査と同様に採血します。
肝ガンの人は、慢性肝炎や肝硬変であることが多いのです。ウイルス性肝炎が慢性肝炎になり、さらに肝硬変に進展することがあります。
この肝炎を起こすウイルスは、現在5種類以上あると考えられていますが、日本で主に問題となっているのはA型、B型、C型の3種類です。
このうち、A型は急性肝炎を起こしますが、ほとんど慢性化せず、肝ガンとは関係がないと思われます。しかしB型およびC型肝炎ウイルスと肝ガンとの関係が注目されています。そのため、HBs抗原検査、HCV抗体検査を行います。
☆AFP(アルファ フェトプロテイン)検査
フェトプロテインとは、「胎児の蛋白質」という意味で、もともとは、胎児や新生児の血液にみられる蛋白質の一種で、血液を採って調べます。普通は、生後10ヶ月以降は極めて少量しか認められません。
肝ガンがあると、AFP値が高くなることが多く、肝ガンの診断や、肝ガン手術後の経過観察に役立ちます。
しかし、AFP値が高くなっても、すべてが肝ガンというわけではなく、急性肝炎の回復期や肝硬変でも高くなることがあります。
精密検査で行う検査
☆腹部超音波検査
(~超音波検査のページを参照~)
右の下部の肋骨の間や腹壁から超音波を当てて、肝臓内部を断層像として描きます。あらゆる方向や角度から検査でき、しかも造影剤の必要もありません。
超音波は人体に害がなく、検査に苦痛も伴いませんので、最近急速に広まりました。しかし、正確な診断には専門的な知識と技術が必要です。
☆腹部X線CTスキャン検査
X線検査とコンピューターを組み合わせて、人体を横断面で輪切りにした画像を作り出す検査です。腹部以外でも検査できます。普通1cmの幅でX線を当てて検査します。
造影剤を用いなくても検査できますが、血管の多い組織を明瞭に写し出したい場合は、造影剤を点滴注射することもあります。
上腹部でX線CTスキャンを行うと、肝臓などの断面図が十数枚の画像になって見られます。
☆血管造影検査
主に動脈に造影剤を注入しながら、X線検査をします。
肝動脈の造影検査を行うときには、下肢のつけ根で動脈をついて、細い管(カテーテル)を動脈内に挿入し、腹部大動脈から総腹動脈、肝動脈と進めて造影剤を注入し、病変のある部位の血管を写し出します。肝ガンがあると血管の写り方に異常が出ます。
肝ガンの診断とともに、肝ガンの治療にもこの血管造影の技術を用います。
☆腹腔(ふっくう)鏡検査
腹壁から、内視鏡を腹腔※内に入れて、肝臓などの腹部臓器を観察する検査です。肝臓の組織片を採取して、顕微鏡で調べることもあります。
※「腔」は「こう」と読むのが正しいのですが、医学用語としては、普通、「くう」と発音することが多い。