「太りすぎ」の場合に気を付ける事とは?
健康診断や人間ドックで「太りすぎです」とあったら?メタボリックシンドロームに気を付けて、どうすればいいのかを解説しています。からだに脂肪がつきすぎていたり、減量の基本は食事療法と運動療法と色々あって食事はバランスよく摂りましょう。
からだに脂肪がつきすぎ
「太りすぎ」、「肥満」というのは、からだの脂肪組織の量が、正常以上に増加した状態を言います。したがって、単純に体重が重たいということではありません。浮腫:ふしゅ(むくみ)のある人や、スポーツマンで筋肉のよく発達している人は、体重も少し重くなりますが、必ずしも「太りすぎ」とは限りません。逆に、骨格が細く、筋肉の少ない人では、実測体重はそれほど重くなくても、脂肪の量は多くて、その人にとっては「太りすぎ」と言える人もいます。
特に、お腹の内部に脂肪が多くつくタイプ(内臓脂肪型肥満)の人は、健康のためによくないと言われています。
20歳代の前半に特に病気をしていなかった人は、そのころの体重を思い出してください。たいていの人にとって、そのころの体重は標準体重に近かったと思われます。もし若いときの体重が標準体重より軽く、現在、標準体重並みだとすれば、あるいは現在が太りすぎているのかも知れません。
「太りすぎ」「肥満」のごく一部に、ホルモン異常や遺伝的な病気が原因の場合がありますが、大部分は「単純性肥満」と言われ、食べ過ぎと運動不足が原因です。したがって自分の努力で「太りすぎ」を改善することによって、「肥満」に伴う種々の成人病の危険性を減らすことができるのです。
減量の基本は食事療法と運動療法
日常生活で、体重を維持するのに必要な1日の摂取カロリーは、平均的には、体重1kg当たり30~50Kcalだとされています。
体重60kgの人では1800~2000Kcalとなります。運動量や労働量の少ない人では、これより少なくても体重は維持できます。積極的にやせるためには、もっと摂取カロリー量を減らさなければなりません。
厚生労働省の統計では、現在の日本人1人1日の平均摂取カロリーは、約2100Kcalです。これには子供も老人も含まれていますから、20歳代から50歳代の人ではもっと多く摂取していると思われます。特に、太っている人では、3000Kcal近く摂取している人がいます。これでは肥満になるのは当たり前です。
自分に適した摂取カロリーを計算するために、まず、「標準体重表」を見てください。(診察.身長.体重.肥満度の測定検査の見方のページを参照)自分の身長では標準体重は何キログラムかを調べます。その数字に、30Kcalを掛けます。これがあなたに適した摂取カロリーの基本です。これを基に、運動量の少ない人は、100~300Kcal少なめに、運動量の多い人は100~300Kcal多めにします。体重を減らす為には、このようにして計算したカロリー数より、少ない食事にしなければなりません。
本格的に減量しようとするときには、医師・保健婦・看護師・栄養士などの指導を受けてください。からだの状況を無視して、極端な減食をするのは危険です。
食事はバランスよく
摂取カロリーを減らす時は、栄養のバランスをうまくとることが必要です。そのためには、糖尿病でない人でも、糖尿病のための「食品交換表」を利用するのが便利です
(「糖尿病の食事療法」のページを参照)
食事は1日3食きちんと摂りましょう。
朝は1日の活動に備えて、良質の蛋白質やごはん、パンなどのエネルギー源になるものをしっかり食べる必要があります。昼は軽くして、あまり間食をしないようにしましょう。
晩は食物繊維を十分に摂り、脂肪や糖分(ごはん・パン・アルコールを含む)を控えめにします。
夜遅く夜食を摂るのは、太るもとですからやめましょう。
「歩く」のも立派な運動
運動は、ラジオ体操・縄とび・ジョギング・水泳・テニスなど、自分の好みや体力に合ったものを、毎日あるいは週に何回か、継続的に行うことが大切です。
歩くことも立派な運動です。毎日の通勤や買い物のときなど、出来るだけ乗り物を使わずに、足を使いましょう。軽く汗ばむ程度の速足で歩くと、効果があります。また、2~3階ならエレベーターやエスカレーターは使わずに、階段を上り下りしましょう。
運動はからだを基礎から改善する
運動の効用は、エネルギーを消費すると同時に、各種の代謝を高め、ホルモンの分泌や血液の循環をよくするなど、体内の基礎的な仕組みを改善する働きがあります。そのために、運動することは単に太りすぎの防止のみではなく、糖尿病を改善し、血圧を下げ、動脈硬化を防ぐなど、成人病の予防や治療に効果があります。
運動によるカロリーの消費は意外に少ないものです。ラジオ体操を10分間やって30Kcal、ゆっくりした水泳を30分間やって180Kcalにすぎません。運動後、のどが渇いて清涼飲料水を1本飲めば、100Kcalほどのカロリーがありますから、運動後の食べすぎや飲みすぎに注意しながら、しっかりと運動しましょう。